ひとり社長として事業を運営していると、パソコンやデスク、内装設備などを購入する機会があります。
法人税の確定申告は意識していても、市区町村へ提出する「償却資産申告」が必要なのか迷う方は少なくありません。
結論から言うと、毎年1月1日時点で事業用の償却資産を所有している場合は、固定資産税(償却資産)の申告対象になる可能性があります。税額がかかるかどうかは課税標準額の合計が免税点である150万円以上かで決まりますが、免税点未満でも申告が必要とされる運用が一般的です。
申告先は税務署ではなく、資産が所在する市区町村です。東京都23区内の資産については、特例により都税事務所へ申告します。
自治体によって様式や案内の細部が異なるため、最終的には資産所在地の市区町村または都税事務所の「償却資産申告の手引き」を確認してください。
ひとり社長も対象?償却資産申告が必要か判断する3ステップ
償却資産とは、土地や家屋以外の事業用資産で、法人税や所得税の計算上、減価償却の対象となるものを指します。
小規模な会社でも、パソコン、複合機、看板、内装・内部造作、工具器具備品などを所有していれば、申告対象になることがあります。
判断の3ステップ
- 固定資産台帳を確認する:法人税申告書の別表16や会計ソフトの固定資産台帳を確認する
- 少額資産の処理方法を確認する:一時損金算入、一括償却、少額減価償却資産の特例のどれで処理したか確認する
- 資産所在地を確認する:事務所、店舗、倉庫など、資産が実際に所在する自治体を確認する
固定資産税(償却資産)は、毎年1月1日現在の所有状況をもとに課税されます。決算月とは関係なく、1月時点の資産状況を整理する必要があります。
- 固定資産台帳に記載されている資産を洗い出す
- パソコン、応接セット、看板、内装設備、工具器具備品がないか確認する
- 資産所在地の自治体から「償却資産申告書」が届いていないか郵便物を確認する
- 届いていない場合でも、申告対象資産があるときは自治体へ確認する
申告対象になる資産・ならない資産:少額資産の扱いに注意

実務で混乱しやすいのが、法人税での処理と固定資産税(償却資産)での扱いの違いです。
特に30万円未満の少額減価償却資産の特例を使った場合、法人税では全額を損金にできても、固定資産税(償却資産)では申告対象になります。
| 処理区分 | 法人税での主な処理 | 償却資産申告 |
|---|---|---|
| 10万円未満で一時に損金算入 | 全額損金 | 申告対象外 |
| 20万円未満で一括償却資産として処理 | 3年均等償却 | 申告対象外 |
| 30万円未満の少額減価償却資産の特例 | 一定要件のもと全額損金 | 申告対象 |
| 通常の減価償却資産 | 耐用年数に応じて償却 | 申告対象 |
同じ10万円以上20万円未満の資産でも、「一括償却資産」として処理した場合は申告対象外ですが、通常の減価償却資産として処理した場合は申告対象になります。会計処理の選択を確認することが重要です。
申告対象外となる主な資産
- 自動車税・軽自動車税の対象となる自動車、軽自動車など
- ソフトウェア、特許権、商標権などの無形固定資産
- 開業費などの繰延資産
- 商品、材料などの棚卸資産
- 10万円未満で一時に損金算入した少額資産
- 20万円未満で一括償却資産として処理した資産
申告期限と提出方法:e-TaxではなくeLTAXを使う
償却資産申告の期限は、原則として毎年1月31日です。1月31日が土日祝日に当たる場合は、翌開庁日が期限になります。
提出先は、資産が所在する市区町村の固定資産税担当窓口です。法人税の申告先である税務署ではありません。
電子申告を行う場合は、国税のe-Taxではなく、地方税ポータルシステムのeLTAXを利用します。初めて使う場合は、利用者IDの取得や電子証明書の準備が必要になるため、1月に入ってから慌てないよう早めに確認しましょう。
- 提出期限は毎年1月31日
- 提出方法は郵送、窓口持参、eLTAXによる電子申告
- 申告先は資産所在地の市区町村または都税事務所
- 資産の増減がない場合でも「増減なし」として申告が必要な場合がある
- 課税標準額が150万円未満でも、申告が必要な場合がある
期限を過ぎてしまった場合でも、放置せず速やかに申告しましょう。正当な理由なく申告しなかった場合、自治体によっては過料などの対象になることがあります。
ひとり社長が陥りやすい判断ミスと対策
償却資産申告は、法人税の固定資産管理と似ているようで、扱いが異なる部分があります。特に、少額資産、リース資産、家屋との区分でミスが起きやすいです。
- 自動車の二重申告:自動車税・軽自動車税の対象車両を、償却資産として重複申告していないか
- 少額資産の処理:一括償却資産と少額減価償却資産の特例を混同していないか
- リース資産:所有権移転外ファイナンス・リースなど、申告者が誰になるか契約書で確認したか
- 内装・設備:賃借事務所の内装や内部造作が、家屋ではなく償却資産として扱われる可能性を確認したか
- 資産所在地:本店所在地と実際の資産所在地が異なる場合、申告先を間違えていないか
リース資産は契約内容によって申告者が変わることがあります。判断に迷う場合は、リース会社や自治体の償却資産担当へ確認してください。
税理士に決算を依頼している場合でも、償却資産申告が業務範囲に含まれているとは限りません。1月の申告対応まで依頼しているか、事前に確認しておきましょう。


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