年末調整の計算が終わると、次に控えているのが「法定調書合計表」の作成と提出です。
ひとり社長にとっては、自分自身の役員報酬や、税理士・社労士など外部専門家への報酬を整理する大切な年明け実務となります。
法定調書合計表とは、給与所得の源泉徴収票や報酬・料金等の支払調書など、税務署へ提出する法定調書の内容を集計して報告する書類です。まずは「自社に提出対象となる支払があるか」を確認し、次に「e-Tax等による電子提出義務の対象か」を判定しましょう。
提出範囲や金額基準は法定調書の種類ごとに異なるため、最終的には必ず国税庁の最新の手引やタックスアンサーを確認してください。
年末調整後のタスクを整理:法定調書合計表の役割と判断の順序
法定調書合計表は、税務署へ提出する源泉徴収票や支払調書の合計額・件数などをまとめる書類です。
年末調整で役員報酬の税額を確定させた後、会社として1年間にどのような支払を行ったかを整理する役割があります。
法定調書実務の4ステップ
- 対象の確認:役員報酬、税理士報酬、不動産使用料など、提出対象となる支払があるか確認する
- 個別調書の判定:源泉徴収票や支払調書の提出範囲に該当するか、金額基準を確認する
- 合計表の作成:提出する法定調書の件数・金額を合計表に記入する
- 提出方法の確認:e-Tax、郵送、税務署窓口のいずれで提出するか決める
提出期限は、原則として支払が確定した年の翌年1月31日です。1月31日が土日祝日に当たる場合は、翌開庁日が期限になります。
- 前年1年間に支払った役員報酬の総額を確認する
- 税理士、社労士、弁護士、デザイナー、ライターなどへの報酬支払を一覧にする
- 個人オーナーから事務所を借りている場合、不動産使用料の支払額を確認する
提出が必要な書類と対象者の判断基準

法定調書合計表には、複数の法定調書の内容を集約して記載します。ひとり社長がよく関係するものは、給与所得の源泉徴収票、報酬・料金等の支払調書、不動産の使用料等の支払調書です。
ここで混同しやすいのが、市区町村へ提出する「給与支払報告書」との違いです。税務署へは所得税関係の法定調書を、市区町村へは住民税計算のための給与支払報告書を提出します。
| 書類名 | 主な提出先 | 目的 |
|---|---|---|
| 法定調書合計表 | 所轄の税務署 | 源泉徴収票・支払調書などの提出内容を集計する |
| 給与支払報告書 | 受給者の住所地の市区町村 | 住民税の計算・課税に使われる |
役員報酬については、年末調整をした法人役員の場合、その年中の給与等の支払金額が150万円を超えると、税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出する対象になります。
一方、受給者本人へ交付する源泉徴収票は、税務署への提出範囲に関係なく作成・交付が必要です。
- 役員報酬の年間支払額が、役員の源泉徴収票提出基準に該当していないか
- 税理士、弁護士、社労士などへの報酬が年間5万円を超えていないか
- 原稿料、講演料、デザイン料など、源泉徴収対象となる報酬を支払っていないか
- 個人に対する事務所家賃など、不動産使用料の支払が年間15万円を超えていないか
- 最新の国税庁の手引で、該当年分の提出範囲を確認したか
支払調書には、提出先である税務署向けにはマイナンバーまたは法人番号の記載が必要になる場合があります。インボイス登録番号とは別の制度なので、混同しないようにしましょう。
e-Taxか郵送か?電子提出の義務化基準と選び方
法定調書の提出方法は、主にe-Tax、郵送、税務署窓口の3種類です。
ただし、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであった枚数が一定以上の場合は、e-Tax、認定クラウド、光ディスク等による提出が必要です。
電子提出義務の基準
2026年5月時点では、法定調書の種類ごとに、前々年の提出枚数が100枚以上の場合、e-Tax等による提出が必要です。
令和9年1月1日以後に提出する法定調書については、この基準が30枚以上に引き下げられます。
ひとり社長の場合、提出枚数が少なく電子提出義務の対象外であることも多いでしょう。ただし、控えの管理や郵送の手間を減らす観点では、e-Taxの利用を検討する価値があります。
e-Taxを利用するメリット
- 税務署へ行かずに提出できる
- 送信履歴を電子データで確認できる
- 給与計算ソフト等から作成したデータを活用できる場合がある
e-Taxで提出する場合は、利用者識別番号や電子証明書、対応ソフトの準備が必要です。年明けに慌てないよう、12月中にログイン確認を済ませておきましょう。
年明けに混同しやすい税務・社会保険の手続きを切り分ける
年明けには、法定調書合計表のほかにも複数の手続きが重なります。特に、市区町村へ提出する給与支払報告書と、税務署へ提出する法定調書を混同しないよう注意が必要です。
また、日本年金機構へ提出する社会保険関係の届出は、法定調書合計表とはまったく別の手続きです。
| 分類 | 提出先 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 国税 | 税務署 | 法定調書合計表、源泉徴収票、支払調書 |
| 地方税 | 市区町村 | 給与支払報告書 |
| 社会保険 | 日本年金機構・健康保険組合等 | 健康保険・厚生年金保険の各種届出 |
給与支払報告書は、市区町村で翌年度の住民税を計算するために使われます。税務署へ源泉徴収票を提出しないケースでも、市区町村への給与支払報告書は必要になることがあるため、別物として管理してください。
- 国税庁の「法定調書の作成・提出」ページで、最新の手引と提出期限を確認する
- 役員報酬の源泉徴収票が税務署への提出範囲に該当するか確認する
- 税理士報酬、社労士報酬、不動産使用料などの支払調書が必要か確認する
- e-Taxで提出する場合、ログインと送信環境を事前に確認する
- 市区町村への給与支払報告書も同時期に準備する
判断に迷う支払がある場合は、国税庁の手引を確認したうえで、所轄税務署または顧問税理士へ相談しましょう。法定調書は年に一度の作業ですが、支払先ごとの情報を日頃から整理しておくと、年明けの負担を大きく減らせます。


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