ひとり社長が最初に削るべき固定費と、削ってはいけない固定費

固定費見直し

ひとり社長や個人事業主にとって、固定費は思っている以上に経営を圧迫します。

売上が安定していない時期でも、事務所代、ツール代、通信費、会計まわりの費用、サブスク料金は毎月出ていきます。

しかも、ひとり社長の場合は経理担当も総務担当もいません。

契約したサービスを見直すのも、請求書を整理するのも、口座やカードの明細を確認するのも、基本的には自分です。

私の失敗談

私自身も、1か月無料のお試しツールを1回だけ使い、その後はまったく使わないまま、自動課金で月額費用を払い続けていたことがあります。

あとから気づいたときの腹立たしさは、単に数千円を損したというだけではありません。

「なんで気づかなかったのか」「なぜ放置していたのか」という、自分への嫌な感じも含めてかなり大きいものでした。

また、バーチャルオフィスでも、十分に調べずに契約してしまい、あとから使い勝手や条件面でかなり困った経験があります。

結局、かなりの手間と費用が掛かりました(この話は長くなるので別の記事で書きます)。

ひとり社長の固定費見直しは、こうした小さな失敗を減らすためにも重要です。

だからこそ、固定費は単に「安くする」だけではなく、次の2つに分けて考える必要があります。

  • 削るべき固定費
  • 削ると逆に損する固定費

この記事では、ひとり社長が最初に見直したい固定費と、削ってよいもの・残した方がよいものの判断基準を整理します。

ひとり社長の固定費で一番怖いのは「なんとなく払い続けること」

固定費で一番怖いのは、金額の大きさだけではありません。

本当に怖いのは、必要かどうか分からないまま、なんとなく払い続けることです。

たとえば、次のような状態です。

  • 使っていないサブスクが残っている
  • 似たようなツールを複数契約している
  • 見栄で高い住所やオフィスを維持している
  • 手作業が多いのに、安さだけでツールを選んでいる
  • 法人カードや口座の明細確認が面倒で放置している

ひとつひとつは小さな金額でも、毎月積み上がると大きな負担になります。

さらに、ひとり社長の場合は、お金だけでなく「確認する手間」もコストです。

固定費の見直しは、節約というより、事業を回しやすくするための整理です。

まず削るべき固定費

1. 使っていないサブスク

最初に見るべきなのは、使っていないサブスクです。

月額980円、1,980円、2,980円のような小さなサービスでも、複数あると年間ではかなりの金額になります。

特に無料お試しから始めたツールは、解約を忘れやすいです。

最初は「必要かもしれない」と思って登録しても、実際には1回だけ使って終わることがあります。

それでも翌月から自動課金され、カード明細を見たときに初めて気づくことがあります。

金額が小さいほど見逃しやすく、気づいたときには数か月分を払い続けていた、ということもあります。

特に見直したいのは次のようなものです。

  • 試しに契約してそのままのツール
  • 似た機能のサービスを複数契約しているもの
  • 月に1回も開いていない管理画面
  • 以前の事業では使っていたが、今は使っていないもの

判断基準はシンプルです。

過去30日で使っていないなら、一度停止候補に入れてよいです。

2. 見栄で払っている住所・オフィス費用

ひとり社長にとって、住所やオフィスは信用にも関わります。

ただし、実際にはほとんど使っていないのに、見栄や不安だけで高い固定費を払っているなら見直し対象です。

たとえば、

  • 来客がほぼない
  • 仕事は自宅や外出先で完結する
  • 郵便物の受け取りだけできればよい
  • 名刺やWebサイト用の住所が必要なだけ

このような場合は、バーチャルオフィスやシェアオフィスの方が合うこともあります。

もちろん、業種や許認可、取引先との関係によっては慎重に判断が必要です。

バーチャルオフィスは、月額料金だけを見て決めると失敗しやすいです。

郵便物の転送頻度、受取方法、法人登記の可否、銀行口座開設との相性、解約条件、追加料金など、契約前に見ておくべき点が多いからです。

私も十分に調べずに契約してしまい、あとから「最初にここを確認しておけばよかった」と感じたことがあります。

ただ、ひとり社長が最初から大きな事務所を持つ必要があるかは、一度冷静に考えた方がよいです。

3. 重複している実務ツール

会計、請求、契約、タスク管理、ストレージなど、便利なツールはたくさんあります。

しかし、便利そうだからと増やしていくと、いつの間にか同じ役割のツールを複数使っていることがあります。

たとえば、

  • 請求書作成ツールと会計ソフトの機能が重なっている
  • メモツールとタスク管理ツールが分散している
  • ファイル共有サービスを複数契約している
  • 電子契約やPDF管理の使い分けが曖昧

ツールは増えるほど便利になるとは限りません。

ひとり社長の場合、管理する場所が増えること自体が負担になります。

「このツールがないと困るか」ではなく、「このツールを残すことで手間が減っているか」で判断すると整理しやすいです。

4. 使い道が曖昧な広告費・販促費

広告や販促費は、売上につながるなら必要な投資です。

ただし、効果を見ていない広告費は固定費に近い負担になります。

特にひとり社長は、広告の確認や改善も自分で行うことが多いため、出しっぱなしの広告は危険です。

見直すべきなのは、

  • 何件問い合わせが来たか分からない広告
  • クリック数だけ見て満足している広告
  • 目的が曖昧な掲載費
  • 以前の流れで続けている販促費

広告費はゼロにすればよいわけではありません。

ただし、数字を見ていない広告費は一度止めるか、計測できる形に変えた方がよいです。

削ってはいけない固定費

1. 会計や請求を整えるための費用

会計ソフトや請求書ソフトは、月額費用だけを見ると削りたくなるかもしれません。

しかし、請求、入金確認、経費整理、確定申告や決算前の確認が楽になるなら、削らない方がよい場合があります。

ひとり社長にとって、会計や請求の乱れは後から大きな負担になります。

特に、

  • 請求書の作成に毎回時間がかかる
  • 入金確認が遅れる
  • 経費がどこにあるか分からない
  • 税理士や会計処理に渡す資料が散らかる

このような状態なら、ツール代を削るより、仕組みを整えた方が結果的に得です。

2. 信用に関わる費用

住所、ドメイン、メールアドレス、契約書、請求書の見え方などは、取引先からの信用に関わります。

ここを削りすぎると、目先の固定費は下がっても、仕事の取りやすさや取引の安心感に影響する可能性があります。

たとえば、

  • フリーメールだけで取引している
  • 請求書の形式が毎回バラバラ
  • 事業用住所や連絡先が分かりにくい
  • 契約や規約の整備が曖昧

こうした部分は、派手ではありませんが事業の土台です。

安くすることより、相手が安心して取引できる状態を保つことが大切です。

3. 自分の時間を減らしてくれる費用

ひとり社長の最大の制約は、時間です。

毎月数千円のツールでも、作業時間を毎月数時間減らせるなら、十分に残す価値があります。

たとえば、

  • 請求書を自動で作れる
  • 明細を自動で取り込める
  • 契約書のやり取りがオンラインで完結する
  • 定型作業を自動化できる

こうした支出は、固定費ではありますが、時間を買う費用でもあります。

ひとり社長は、自分がやらなくてもよい作業を減らすことが重要です。

固定費を見直すときの判断基準

固定費を見直すときは、次の質問で判断すると分かりやすいです。

1. 直近30日で使ったか

使っていないものは、まず停止候補です。

年に数回しか使わないものでも、本当に必要なら残してよいですが、惰性で契約しているものは見直しましょう。

2. その費用で何が減っているか

固定費を見るときは、金額だけでなく、何を減らしているかを見ます。

  • 作業時間が減る
  • ミスが減る
  • 管理の手間が減る
  • 取引先対応が早くなる

このどれにも当てはまらないなら、見直し対象です。

3. 売上や信用に関係しているか

売上に直結しているもの、信用に関わるものは、安易に削らない方がよいです。

逆に、売上にも信用にも関係していないものは、削っても影響が少ない可能性があります。

4. 代替手段があるか

同じ目的を、もっと安く、もっと簡単に実現できるなら見直す価値があります。

たとえば、事務所を借りなくてもバーチャルオフィスで足りる場合や、複数ツールを1つにまとめられる場合です。

ひとり社長が最初にやるべき固定費チェック

まずは、次の5つを書き出してみてください。

  1. 毎月払っているサブスク
  2. 住所・オフィス関連費
  3. 会計・請求まわりの費用
  4. カード・口座・振込まわりの費用
  5. 広告・販促費

そのうえで、それぞれに対して次の3つを確認します。

  • 直近30日で使ったか
  • その費用で何が楽になっているか
  • やめたら何が困るか

この3つに答えられない固定費は、見直し候補です。

特に、無料お試しから有料に切り替わるサービスと、住所・オフィス関連の契約は優先して確認した方がよいです。

どちらも契約時は軽く見えますが、放置すると毎月の支出として残り続けます。

まとめ

ひとり社長の固定費見直しは、単なる節約ではありません。

大事なのは、削るべきコストと残すべきコストを分けることです。

削るべきなのは、使っていないサブスク、見栄で払っている費用、重複したツール、効果を見ていない広告費です。

一方で、会計や請求を整える費用、信用に関わる費用、自分の時間を減らしてくれる費用は、安易に削らない方がよい場合があります。

ひとり社長は、固定費を下げるだけでなく、実務を回しやすくする視点でコストを見直すことが大切です。

まずは、毎月払っているものを一覧にして、必要なものと惰性で続けているものを分けるところから始めてみてください。

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