ひとり社長や個人事業主向けには、国、都道府県、区市町村、公的機関などが用意している支援制度があります。
ただ、実際には「存在を知らなかった」「あとで知ったけど期限が過ぎていた」「自分が対象か分からず放置した」ということが起こりがちです。
支援制度は、向こうから分かりやすく教えてくれるものばかりではありません。
自分で探して、条件を確認して、必要なら早めに動く必要があります。
とはいえ、ひとり社長は営業、制作、経理、請求、顧客対応まで自分で抱えていることが多く、制度情報まで細かく追う余裕がない人も多いはずです。
この記事では、ひとり社長が知っておきたい支援制度の種類と、まずどこから探せばよいかを整理します。
なお、この記事は一般的な情報整理を目的としたものです。実際に制度を利用する場合は、必ず公式ページや募集要項をご確認ください。
ひとり社長が支援制度を見落としやすい理由
ひとり社長が支援制度を見落としやすい理由は、制度が少ないからではありません。
むしろ、情報が散らばっていることが問題です。
たとえば、支援制度の情報は次のような場所に分かれています。
- 国の制度
- 都道府県の制度
- 区市町村の制度
- 商工会議所や商工会の情報
- 中小企業支援機関の情報
- 業種別の支援
- 創業者向けの支援
さらに、制度ごとに対象者、申請期間、使い道、必要書類が違います。
そのため、制度名だけを見ても「自分に関係があるのか」が分かりにくいのです。
ひとり社長に必要なのは、制度を全部覚えることではありません。
まずは、探す順番と確認するポイントを持つことです。
まず確認したい支援制度の種類
1. 創業・開業支援
開業前後や創業初期の事業者向けに、相談窓口、セミナー、専門家相談、創業支援などが用意されていることがあります。
補助金や助成金だけでなく、事業計画の相談、販路開拓の相談、資金調達の相談などが含まれることもあります。
ひとり社長の場合、開業直後は制度情報を調べる余裕がないことも多いため、最初に確認しておきたい領域です。
見るべきポイントは次の通りです。
- 創業前でも使えるか
- 創業後何年以内が対象か
- 法人だけでなく個人事業主も対象か
- 相談だけか、費用補助もあるか
- 東京都と区市町村のどちらの制度か
2. 販路開拓・集客支援
ホームページ制作、広告、展示会出展、チラシ作成、EC導入など、販路開拓に関する支援制度があります。
ひとり社長にとって、集客は大きな課題です。
特に、ホームページや広告、Web集客に使える支援があるかは確認しておきたいところです。
ただし、制度によっては対象経費が細かく決まっています。
たとえば、ホームページ制作は対象でも、広告運用費は対象外ということもあります。
確認するポイントは次の通りです。
- 何の費用に使えるか
- すでに支払った費用も対象になるか
- 申請前に契約してよいか
- 採択前に始めると対象外にならないか
- 実績報告が必要か
3. IT導入・デジタル化支援
会計ソフト、請求書ソフト、予約管理、EC、業務効率化ツールなど、IT導入やデジタル化に関する支援が出ることがあります。
ひとり社長は人手が限られるため、ITツールで手作業を減らせると効果が大きいです。
ただし、支援制度を使うためだけに不要なツールを入れるのは本末転倒です。
先に考えるべきなのは、「自分の実務で何を減らしたいか」です。
たとえば、
- 請求書作成を楽にしたい
- 経費処理を減らしたい
- 顧客管理を整理したい
- 予約や問い合わせを自動化したい
- 紙やPDFのやり取りを減らしたい
このような課題がある場合は、IT導入やデジタル化支援の情報を確認する価値があります。
4. 専門家相談・経営相談
補助金や助成金だけが支援制度ではありません。
無料または低額で専門家相談を受けられる制度もあります。
たとえば、経営相談、創業相談、販路開拓相談、IT活用相談、資金繰り相談などです。
ひとり社長は、誰かに相談する前に自分だけで抱え込みがちです。
制度を使って専門家に相談できるなら、早めに利用することで判断ミスを減らせる場合があります。
ただし、相談窓口によって得意分野は異なります。
自分が聞きたい内容に合っているかを確認してから申し込むとよいです。
5. 固定費・設備投資に関する支援
設備導入、事務所、移転、業務改善、環境対応などに関する支援制度が出ることもあります。
東京で事業をしている場合、住所やオフィス、設備まわりのコストは重くなりやすいです。
すべての固定費に支援があるわけではありませんが、事業上必要な設備や仕組みを導入する場合は確認しておく価値があります。
ここで大事なのは、支援制度があるから使うのではなく、もともと必要な投資に制度が使えるかを見ることです。
制度に合わせて無理にお金を使うと、かえって負担が増えることがあります。
支援制度を探す順番
ひとり社長が制度を探すときは、やみくもに検索するより順番を決めた方が楽です。
おすすめは次の順番です。
1. まず国の制度を見る
全国共通で使える制度があるかを確認します。
小規模事業者向け、IT導入、販路開拓、創業支援など、広く使われる制度は国の情報から見つかることがあります。
2. 次に都道府県の制度を見る
東京で事業をしているなら、東京都の中小企業・小規模事業者向け支援情報を確認します。
東京都は制度数が多いため、自分に関係があるものを探すには少し手間がかかります。
だからこそ、対象者と使い道を見ながら絞り込むことが重要です。
3. 最後に区市町村の制度を見る
区市町村の制度は、対象地域が狭いぶん、自分に合えば使いやすい場合があります。
たとえば、創業支援、商店街支援、販路開拓、専門家相談、融資あっせんなどが用意されることがあります。
所在地によって使える制度が変わるため、事業所のある自治体の情報は一度確認しておきたいところです。
支援制度を見るときのチェック項目
制度を見つけたら、次の項目を確認します。
- 対象者
- 対象地域
- 対象経費
- 補助率や上限額
- 申請期間
- 申請前に契約してよいか
- 必要書類
- 実績報告の有無
- 採択や審査の有無
特に注意したいのは、申請前に契約や支払いをしてよいかどうかです。
制度によっては、申請前に契約した費用が対象外になることがあります。
また、補助金は後払いになることも多いため、先に自分で支払う資金が必要な場合があります。
支援制度は「使えるか」より「使う意味があるか」で考える
支援制度は、対象になるなら何でも使えばよいというものではありません。
ひとり社長の場合、申請準備や実績報告に時間を取られると、本業の時間が削られます。
そのため、次のように考えると判断しやすくなります。
- 申請にかかる時間に見合うか
- 対象経費が本当に必要なものか
- 採択されなくても進める予定があるか
- 書類や報告の負担を許容できるか
- 制度に合わせて不要な支出を増やしていないか
支援制度は、上手く使えば事業の助けになります。
一方で、制度に振り回されると、かえって手間が増えることもあります。
大事なのは、制度を使うことではなく、自分の事業にとって意味があるかを判断することです。
ひとり社長が最初にやること
まずは、次の3つだけ確認してみてください。
- 自分の事業所在地の自治体サイトを見る
- 都道府県の事業者向け支援情報を見る
- 自分が今後使いそうな費用を整理する
たとえば、ホームページ制作、広告、会計ソフト、請求書ソフト、事務所、設備、専門家相談などです。
制度を探す前に、何にお金を使う予定があるかを整理しておくと、対象制度を見つけやすくなります。
まとめ
ひとり社長が知っておきたい支援制度には、創業支援、販路開拓支援、IT導入支援、専門家相談、固定費や設備投資に関する支援などがあります。
ただし、制度情報は国、東京都、区市町村、公的機関などに分散しています。
まずは、国、東京都、区市町村の順番で確認し、自分の所在地、事業規模、使い道に合う制度があるかを見てみてください。
支援制度は、知らなければ使えません。
一方で、使える制度を見つけても、必ず使うべきとは限りません。
申請の手間、対象経費、資金繰り、実績報告まで含めて、自分の事業にとって意味があるかを判断することが大切です。
実際に申請や利用を検討する場合は、必ず最新の公式情報を確認してください。
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